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肥薩線の全線鉄道復旧目指せ ワークショップに参加して感じたこと

 熊本県八代市の八代駅から熊本県人吉市を通り、鹿児島県霧島市の隼人駅までを結ぶ124.2キロのJR肥薩線。2020年の令和2年7月豪雨で八代〜吉松間が線路被災している。さらに2025年8月の豪雨の影響で、吉松〜隼人間も被害を受け運休をし、タイミングはそれぞれ異なるが、現在は全線で運休をしている。2020年の豪雨で運休中の八代〜人吉は鉄道復旧で話が進み、復旧へ向けて動き出してきているが、同じ時期に被災した人吉〜吉松はまだ議論が続いている。また2025年8月に被災した吉松から隼人の被災は、現場の場所もあり、復旧が難航している。


ーポイントー

・長期運休区間(八代〜吉松間): 2020年7月豪雨で被災。このうち八代〜人吉間(川線)は鉄道復旧で最終合意に至り、復旧へ動き出しているが、人吉〜吉松間(山線)は議論が継続中。

・短期運休区間(吉松〜隼人間): 2025年8月の大雨の影響で線路が被災し運休。場所が重機などが入れられる道などがなく、現在復旧が難航している。


 9月下旬、人吉市で行われた肥薩線のワークショップ。第1回目に続き第2回目も行われ、鹿児島・宮崎・熊本に在住の方を対象に開かれた。私も鹿児島に家があるため、意見交換を行うべく参加してきた。

 意見を出してきたが、感じたのは肥薩線を鉄道で復旧させる思いの強い人々ばかりだった。様々なアイデアも出ており、駅ごとの特徴から参加者が知恵を絞りアイデアを付箋に書き、駅ごとに貼り付けていく作業が続く。中には鉄道ファン層を取り込んでいく案もあったり、駅設備の提案であったり、本当にアイデアは様々。鹿児島県内の肥薩線は鹿児島空港と隣接する区間もあるため、鹿児島空港へのアクセス強化ができないかなどの案もあった。また霧島の温泉を組み合わせた観光ルートの案なども多くあり、様々な考えが聞けて有意義な時間だった。出たアイデアは課題も多くあるが、それを抜きにしても何ができるかを考えていくことがまずは必要なんだと感じるところがあった。

 参加者は地元の方々を中心に自治体の関係者などが参加し、中には宮崎県えびの市の高校生も、高速バスに乗って人吉までやってきたと話しており、参加して意見を出し合っていた。


 長期運休が続く八代〜人吉間の川線は鉄道復旧の最終合意がなされた一方、同じく2020年の豪雨で被災した人吉〜吉松間の山線は、いまだ復旧の方向性が決まっていない。熊本県は川線の鉄道復旧が決まった今年4月にも、山線の復旧に向けて鹿児島・宮崎両知事へ協議の働きかけを行っている。鹿児島県の塩田知事は今年5月の定例会見で、熊本県・宮崎県と「3県一緒に進めていく必要性がある」との考えを示し、意見交換や協議をしながら「しっかりと前に進めて行く対応をしたい」と話し、熊本県知事からの呼びかけや議論への前向きな姿勢を明確にしている。

 記者が思うのは「全線開通こそが鹿児島の未来につながる」とういことだ。肥薩線は、沿線にある高校の生徒の通学手段であり、鹿児島の観光や日常利用で重要な役割を担う路線。観光需要をより掘り起こすためには、災害を乗り越え、熊本から鹿児島まで一本で繋がることが不可欠だろう。復旧が難航している吉松〜隼人駅間の早期復旧を期待するとともに、山線(人吉〜吉松間)の復旧に向けた3県とJR九州による今後の議論に、引き続き注目していきたい。(記事分作成:運営記者)

 
 

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