top of page
検索

国内航空路線はどうあるべきなのか。鹿児島空港に就航する2社も経営の厳しさ訴える。

 10月1日に国土交通省では、国内航空のあり方に関する有識者会議が開かれ、航空会社4社が現在の状況を発表した。今回呼ばれた航空会社のすべてが、現状の航空会社の経営が厳しいことを訴え、国内航空を今後どのように維持するべきか検討する必要がある。


 各社の経営状況は厳しく、円高や燃料費の高騰、機材の整備費等でコストは上がっているものの、かつ高需要があった国内船のビジネス客が、オンライン会議の普及により減少。10年以上国内航空券の運賃は上がっておらず、価格競争の影響なども受けて運賃は横ばい、1名当たりの利用単価の減少もあって現状はより厳しさを増す。特に大手航空会社が航空券セールを頻繁に行うようになったため、その煽りを受けて価格を上げられない現状もあるという。

 さらに、今後は使用している飛行機の老朽化に伴う機材更新も急務となるが、現在の状況では投資に掛けられる余力が落ちている。だが、老朽化をそのままにしてしまうと、機材の整備コストは上がり、より資金を圧迫する状態だ。


 また乗務員の確保も重要だ。長期かつ多額の費用で養成をする、パイロットや整備士は慢性的な不足で、業界全体で取り合っている状況だという。それ以外にも、航空券が適正に価格転嫁ができなければ、空港で飛行機の運行を支援する働き手(グランドハンドリング・グランドスタッフ・空港運営など)などへ、賃金や働き方などの労働条件にしわ寄せが来る可能性も示唆している。こちらも各社で取り合うほどの人手不足になれば、より状況は深刻化する可能性は十分にある。


 参加したのはスカイマーク・エアドゥ・ソラシドエア・スターフライヤーの4社。そのうちスカイマークは4路線22便、ソラシドエアは、3路線16便を鹿児島空港に就航している。またオフザーバーで航空連合も参加した。



・鹿児島空港に就航する2社は・・・

 スカイマークでは、コロナ過が明けて以来、費用の高騰などによりコロナ前より利益は出なくなっており、 飛行機の整備費は、2018年に比べるとコストは2倍以上。その他の燃料費や飛行機のリース料、人件費などがどんどん上がっている。現在の政府支援が終わるとほぼ利益は得られず、厳しい経営状態となる。

 現に、2024年の収益が1,088億円に対し、政府支援がなかった場合の費用は1,116億円と赤字になる。現在政府の支援46億円もあり、24年は18億円の営業利益だったが、2018年の営業利益が政府補助金なしで72億円だっとことを考えると、情勢はより厳しい。かつ大手航空会社のコストに見合わないセールが定期的に開催されるところにより、利用客が取られているのが現状だ。スカイマークは幹線路線を低価格で運航するところも強みではあるが、2023年と2025年を比べて利用率は減少をしている。

 今後の事業継続へ向けて、安全を全ての基盤として高品質なサービス(定時発着率・顧客満足)を提供することを前提に、航空貨物や若年層向け運賃の展開、ビジネス利用者拡大を目指した事業収益の拡大を図るという。また機材面でも、今後飛行機をリース導入だけに偏らず、ファイナンスを活用した自社発注の導入も推進していくという。



 ソラシドエアは、2024年の搭乗客数は過去最高になったものの、それを上回る事業費が負担となり、かつ乗客の利用単価が減少しているため、経理状況はより厳しさを増す。政府支援がなければ、営業利益は赤字という状態だ。ソラシドエアは、今後運賃が適正価格になり、各社が競争できる環境ができない限り、地域航空会社が存続できなくなる恐れを示唆している。経営の効率化だけでは、事業費増加分に及ばないのが現実だ。

 特にエンジン関連の整備が機体が老朽化するにつれて増えるため、今後費用は上がっていく予想が立っている。ソラシドエアは、北海道の航空会社であるエアドゥと持ち株会社「リージョナルプラスウイングス」を設立し、整備機能は現在統合されている。また羽田空港のオフィスの統合等を進め、経営効率化を図り数億円でのコスト削減は行ったものの、増加分を補うには至らなかったという。

 2030年頃には、現在使用しているボーイング737-800型機を更新していく必要があるのだが、その費用は2011年に導入した時に比べて価格は2.5倍に上がっているといい、収益性の改善や飛行機の更新に備え、資金調達余力することは必須だという。


今回の現状を国がどのように捉えるかが非常に重要になるが、今後の国内線路線の維持へ向けた取り組みをより考えていく必要があるのかもしれない。またビジネス客の確保や、今後の利用単価の向上へ向けて、ただ単に値上げするだけでは利用控えが起こる可能性もあるため、より慎重に検討する必要性があるだろう。今後の議論が注目される。(記事文作成:運営記者)

 
 

最新記事

すべて表示
九州郵船 高速船新造 川重が8年ぶりに製造へ

北部九州から長崎県の対馬・壱岐を結ぶ船会社の九州郵船は21日、新たな高速船(ジェットホイル)を導入することを発表した。製造は川崎重工が担い、引き渡しは4年後の2029年6月の予定。鉄道建設・運輸設備整備支援機構と九州郵船の共同発注で、九州郵船のジェットホイル新船は、予定通りの導入で行けば1991年以来38年ぶりの新船となるほか、製造先の川崎重工業も8年ぶりのジェットホイル製造となる。 新しいジェッ

 
 
bottom of page