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鹿児島県、ANA・朝日新聞らと新物流協議会 「空きスペース」活用で首都圏へ当日配送 2030年問題見据え実証へ

鹿児島県とANA Cargo(本社・東京)、エニキャリ(同)、朝日新聞社(同)の4者は16日、持続可能な物流ネットワークの構築を目指し、「航空貨物幹線及び地域配送網構築推進協議会」を設立したと発表した 。国土交通省の「地域連携モーダルシフト等促進事業」に採択された取り組みで、航空機と新聞販売店の配送網などを組み合わせ、鹿児島から首都圏への安価で迅速な「当日配送」ルートの確立を目指す 。


報道発表された資料(共同リリースされた資料から)
報道発表された資料(共同リリースされた資料から)

ー「陸の孤島」回避へ、企業の枠超え連携 ー


背景にあるのは、物流業界に差し迫る「2030年問題」だ。トラックドライバーの高齢化や人手不足により、30年には全国の物流需要の約34%が輸送不能になると試算されている 。特に長距離となる幹線輸送への影響は深刻で、配送日数の増加や輸送能力の低下が懸念される 。  県交通政策課への取材によると、県内の生産現場からは既に、時間外労働の上限規制や資材高騰に伴い、「輸送費の増加や輸送日数の長期化といった課題が生じている」との声が上がっている。県は、首都圏まで長距離輸送を余儀なくされる本県が「陸上輸送に関して最も不利な条件にある」と認識しており、トラック輸送だけに頼らない代替手段の確保を急務としていた。


ー システムで「空き」を可視化 ー


今回構築するスキームは、4者がそれぞれのリソースを持ち寄る「航空×陸送のハイブリッド輸送」だ 。鹿児島空港から羽田空港までの幹線輸送は、ANA Cargoが航空便を提供 。首都圏に到着した荷物は、朝日新聞社が持つ強固な地域配送網(新聞販売店等)を活用してラストワンマイルを届ける。この複雑な連携を支えるのが、エニキャリの配送管理システムだ。航空機やトラックの「空きスペース」をシステム上で可視化し、シェアリングすることで積載効率を最大化。これにより、通常は高コストな航空輸送を利用しながらも、既存の配送コストの10%以上の削減を目指す。県は、地域の荷主(生産者や地元企業)のニーズ検証を担う。


ー 鮮度武器に販路拡大、補助金頼らずー


新ルートが実現すれば、これまでトラックで日数を要していた輸送が航空便に切り替わり、鹿児島で採れた農産品や海産物をその日のうちに首都圏へ届けることが可能になる 。 県は、具体的に「鮮度を売りとした商品」を対象品目に想定している。ターゲット層や利用企業の詳細は今後の実証実験やアンケート調査で詰めるが、県交通政策課は「荷主の意向によるが、物流の選択肢を増やすことが重要」としている。また、今回の事業モデルについて県は、「県としての補助等は検討していない」と明言。あくまで民間主導のビジネスベースで成立する持続可能な仕組みを目指す考えだ。


ー 今年度内に実証、まずは東京便から


協議会としての活動は今年度で一旦区切りとなる見通し。県は「現時点では実証の段階」とし、まずは東京―鹿児島間のサービス実装に向けたニーズの見極めを優先する。離島エリアや大阪・名古屋など他地域への展開については、段階を踏んで検討していく方針だ。業界の垣根を超えた新たな「空の道」が、地理的不利を抱える鹿児島の地域経済活性化につながるか、実証の行方が注目される 。


【協議会参加各社の主な役割】

  • 鹿児島県:地域の荷主(生産者・地元企業)ニーズの検証

  • ANA Cargo:航空貨物便(幹線輸送)の提供、航空機空きスペースの活用検証

  • エニキャリ:配送管理システムの提供、県内ラストワンマイル配送網の提供、マッチングシステム設計

  • 朝日新聞社:首都圏等におけるラストワンマイル配送網の提供、新聞配送リソースの活用

 
 

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