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機材制約・コスト増加で経営圧迫 地方・離島航路の生命線「ローカル航空」 はどう守るか

地方の生活基盤を支える「ローカル航空」が、深刻な経営危機に直面している。12月5日に国交省内で行われた、国内航空のあり方に関する有識者会議にて、全国地域航空システム推進協議会が提出した資料が公開され、小型機で離島・地方路線を運航する航空会社は、円安や燃料高騰によるコスト増加が大手航空会社を上回るペースで直撃し、事業継続が危ぶまれる状況にあると警鐘を鳴らしている。離島を多く抱え、航空路線が非常に重要な鹿児島県にとって、避けられない課題だ。


・コスト増加や機材の制約。航空会社は厳しい現状

 国土交通省で開かれた「国内航空のあり方に関する有識者会議」において、離島や地方路線を運航する「ローカル航空」の窮状を訴える資料が提出された。全国地域航空システム推進協議会が作成した同資料では、円安や燃油高騰によるコスト増が地域航空会社の経営を直撃しており、国による支援拡充が急務であると警鐘を鳴らしている 。多くの離島を抱える鹿児島県にとって、地域航空の維持はまさに県民生活の生命線に関わる問題だ。

 鹿児島県にとって、ローカル航空は単なる交通手段ではなく、島民の貴重な足となる存在。28もの有人島がある県内離島には、8つの空港(種子島・屋久島・奄美大島・喜界島・徳之島・沖永良部・与論島・薩摩硫黄島)があり、薩摩硫黄島以外の7つは毎日定期便が就航している。以前は鹿児島空港と薩摩硫黄島飛行場にも小型セスナ機での定期便があったが、2023年6月から整備・点検等により空港の離着陸受け入れを中止するという三島村役場の連絡で、現在も運休している。

 県は、離島路線の運航を担うリージョナル航空について、「離島地域の人口減少や、燃油高騰・円安などで運航事業者を取り巻く環境が厳しさを増す中、 より厳しい状況下にある離島航空路の維持対策が重要。」と長崎・東京のと自治体と共に声を上げている。しかし、地方間路線は需要規模が小さく、燃料費の高騰や円安の影響を強く受けるため、採算確保が困難となり、事業ができなくなるおそれもある。2019年のコロナ前と比べ、2024年の運行コストは44%上昇しており、人件費・整備費・燃料費すべてが以前より上回っているのが現状だ。路線維持や活性化にはエアラインと自治体の連携強化が不可欠だという認識があり、島民の足以外にも、物資や医療でも貴重な輸送手段でもあるため、持続可能な運航実現に向けての支援の充実を訴えている。

 世界中には燃費効率が低く、低コストで運航可能な様々な飛行機があるが、機材の選べる幅が狭まれる現実もある。短い離島の小さい空港では、滑走路の制限や空港設備の制約上、就航できる飛行機の選択肢が限られる。現在地方路線の主流となる飛行機ATR42-600/ATR72-600がある。ATR社はATR72-600型機で、滑走路距離が1,200メートルと短い与論島空港でも離発着できる性能を、自社のYouTubeチャンネルでアピールしており、飛行機の選択肢が限られる地方や離島路線ではこのような飛行機が重宝される。しかし機材数が少なく、また機材故障などに伴う整備や部品供給の遅れにより、代替機の確保が困難になり、運航柔軟性や収益性に悪影響を及ぼし、欠航や遅延による収入減やコストも収益に悪影響を及ぼしている。さらにコロナ禍からの旅客回復も、都市部を結ぶ幹線に比べてローカル線は遅れており、経営環境は厳しさを増している 。自治体からは、離島に就航する機材(ATR機、ドルニエ機)については、部品費や整備費の コストが高く、また部品供給遅延も発生することから、整備・共同調達への支援が必要と訴える声もある。


・生活の一部として、地方や離島医療の貴重な手段として、どう守るのか。

 ローカル航空の役割は移動だけにとどまらない。資料では、医師派遣による地域医療の維持や、災害時の物資輸送・防災拠点としての重要性も挙げられている 。能登半島地震の事例でも示された通り、陸路が寸断された際の「空の道」確保は、離島県である鹿児島にとっても重要な防災課題といえる 。県民の足を守り、地域経済と安全を維持するために、国や自治体、航空会社が一体となった持続可能な仕組みづくりが待ったなしの状況となっている。

 今回のヒアリング資料の中で、鹿児島県は他県と共に危機感を表明しており、離島路線の運航を担う航空会社について「高齢者の移動手段なども含め、生活基盤の一部であり地域活性化に果たす役割は大きい」と強調 。一方で、「需要規模が小さく、燃料費高騰や円安で採算確保が困難となり、減便や運休が懸念される」とし、国の運航支援や補助制度の見直し、さらには自治体と航空会社が連携した需要創出策が必要不可欠だと訴えた 。また、路線維持のためには「エアラインと自治体の連携強化が不可欠」との認識も示している 。現在はテレワークや2拠点居住などの取り組みで、地方や離島への移住をしている人々も多い。今後の発展のためにも、国はどのように地方の航空路線を守っていくか、より注目をして見守る必要がありそうだ。


全国地域航空システム推進協議会は、主に地方行政の立場から小型航空機を使用した地域航空システムの推進を図るため、地方の空港及びその施設の整備、事業者の経営基盤強化のための環境整備等の活動を行っている団体。鹿児島県の塩田知事が理事を務め、会員には 奄美群島航路対策協議会や日本エアコミューターが入っている。(記事文作成:運営記者)



 
 

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