top of page

林総務相も視察した海の玄関口「マリンポートかごしま」鹿児島の玄関口として、県民の憩い場としての役割

  • 執筆者の写真: 鹿児島地域交通通信社
    鹿児島地域交通通信社
  • 20 時間前
  • 読了時間: 5分

2026年3月20日から22日にかけて、林総務大臣が地方創生や地域課題の視察として鹿児島県を訪問し、その視察先の一つとして鹿児島市の「マリンポートかごしま」に足を運んだ。 国内外から超大型クルーズ船が次々と寄港する鹿児島県の「海の玄関口」として機能する同施設だが、その全貌や建設の歴史、そして背後に抱える地域交通の課題について、全国的な知名度はまだ発展途上にある。総面積24ヘクタールに及ぶこの巨大人工島は、いかにして誕生し、どのような役割を担っているのか。その実態に迫る。

マリンポートかごしまの入口
マリンポートかごしまの入口
マリンポートかごしまの案内図
マリンポートかごしまの案内図

■ 桜島の土砂と県産素材で造られた「こだわりの島」

マリンポートかごしまは、鹿児島港の中央港区に位置する人工島だ。本土側とは橋長123メートルの「マリンポート大橋」で結ばれており、現在供用されている1期事業分の面積だけで24.0ヘクタール(1期1工区10.3ヘクタール、1期2工区13.7ヘクタール)と、県内の港湾施設として最大級の規模を誇る。 特筆すべきは、その建設工程における「かごしま」への徹底したこだわりだ。埋立には、桜島の土石流土砂約104万立方メートルや、公共事業で発生したシラスなどの土砂約97万立方メートルが有効活用されている。また、施設内の構造物には熔岩の石垣が組まれているほか、島内にある建物「ふれあいパーク」には、県産の木材を使用している。さらに島内の奥にある展望デッキは、川辺町開発焼却灰を活用したエコレンガを使用し、資源を有効活用している。


■ 日本初寄港から全面供用までの歴史と、クルーズ需要の牽引

世界最大級の大型観光船が接岸可能な岸壁(水深11メートル、延長430メートル)を備える同施設は、2007年(平成19年)9月28日に1期1工区がオープンし、「サファイア・プリンセス」が初寄港を飾った。その後、2014年(平成26年)3月には「クイーン・エリザベス号」の日本初寄港という歴史的瞬間を迎え、2016年(平成28年)7月18日に1期2工区を含めた全面供用を果たした。 インバウンド需要の回復に伴い、その経済効果は絶大だ。2025年の鹿児島県内のクルーズ船寄港回数は157回(10月時点)と過去最多を更新しており、その大半をマリンポートかごしまが受け入れている。島内にはかごしまクルーズターミナルが併設され、クルーズ船客の入出国審査なども行うことができるほか、クルーズ船寄港時には土産店が臨時出店して、物販販売も行われる。屋外でもフードキッチンの移動販売車が販売を行うこともある。

数千人規模の乗客を乗せたクルーズ船が着岸すると、敷地内には数十台規模の大型観光バスが一斉に集結。観光ツアーでのバス運行や、主要観光地を往復するシャトルバスも運行され、クルーズ船のツアー次第でバスの運行内容は変わるが、鹿児島市内の天文館をはじめ、桜島や霧島、指宿など県内各地の観光地へと送客する大規模な二次交通のハブとして機能している。またタクシープールも準備されているため、クルーズ船寄港時には、島内にタクシーも乗り入れて、観光客を各地へ運ぶ。最近では桜島フェリーなどを使用して、大隅半島へ観光客を送迎して観光するツアーも実施された。

周辺にはドン・キホーテなどが入る商業施設もあり、クルーズ船寄港時は免税品を購入して、マリンポートかごしまへ歩く観光客もよく見かける。

島内にある「かごしまクルーズターミナル」
島内にある「かごしまクルーズターミナル」
近くにある商業施設(写真には加工がしてあります。)
近くにある商業施設(写真には加工がしてあります。)

■ 県民の憩いの場と、防災拠点としての顔

インバウンドの拠点という側面だけでなく、「県民のための親水空間」としての役割も大きい。敷地内には約9ヘクタールの「ふれあい広場」や約3ヘクタールの「親水広場」、約1ヘクタールの「ヘリポート」が整備されている。波穏やかな錦江湾と雄大な桜島を望む360度のパノラマ景観で、島内からは鹿児島県庁や鹿児島大学病院、イオンモール鹿児島などの商業施設も望める。公園内ではペットを連れて散歩ができるゾーンもあるため、散歩に訪れる飼い主も多い。また広い広場は、子供達の遊びの場でもあり、記者が訪れた日にも、サッカーやバドミントンをして遊ぶ子供達の姿が見れた。この他にも、ランニングができるレーンもあったり、休憩ができる建物もあるため、週末は家族ずれでも賑わい、県民の憩いの場としての一面もある。

また、大規模イベントの会場としても定着しており、年間でも車関係やフードイベントなど、様々なイベントの開催場所としても使用され、来月には2026年4月25日には「桜島と芸術花火2026」(15時開場、19時半打ち上げ開始)の開催も予定されている。さらに、広大な「西広場」はイベント利用に留まらず、災害発生直後の一時避難場所としても位置づけられており、地域の防災拠点としての顔も併せ持つ。

広大な広さを誇る広場
広大な広さを誇る広場

■ 浮き彫りになる「公共交通からの遠さ」という課題

多面的な機能を持つ一方で、運用上の最大の課題として浮き彫りになっているのが「公共交通機関からの遠さ」だ。 マリンポートかごしまの最寄り駅は、JR指宿枕崎線の宇宿駅や鹿児島市電の脇田電停となるが、直線距離で約1.2キロ離れており、歩行者ルートを通ると徒歩で約20〜30分を要する。付近を走る脇田バス停からも約750メートルの距離がある。クルーズ船寄港時には専用のシャトルバスやツアーバスが運行されるものの、日常的に広場を訪れる県民や、団体ツアーを利用しない個人手配の観光客にとってはアクセスに大きな難があり、自家用車への依存度が高いのが実情だ。島内には駐車場も完備されているが、周辺は幹線道路もある関係で、マリンポートかごしまから大通りへ出る道は信号待ちが長いことや、週末は周辺の商業施設の混雑や鹿児島市南部にある工場や倉庫から来る貨物トラックの通り道なども相まって、渋滞がしばし起きる。2030年ごろに完成予定の、マリンポート鹿児島の入口近くから鴨池港まで繋ぐ橋(鹿児島港臨港道路)の建設も進められており、完成すれば現在起こる交通渋滞も緩和されると予想できる。

マリンポートかごしま内にある最寄り電停までの案内図
マリンポートかごしま内にある最寄り電停までの案内図
最寄りの脇田電停。外国語での分かりやすい案内も行われている。
最寄りの脇田電停。外国語での分かりやすい案内も行われている。

林総務大臣の視察でも、受け入れ環境の整備や経済効果が確認されたマリンポートかごしま。県内全域への波及効果を最大化し、同時に県民がより身近に利用できる安全な施設として発展させていくためには、この「アクセスの壁」を乗り越える二次交通ネットワークの構築が急務となっている。


 
 
bottom of page